奥和歌浦・雑賀崎に眠るレトロゲームの深淵(1)

和歌山県の中心、和歌山市の南西にある観光地・和歌浦
戦前から1960年代までは新婚旅行の定番スポットとして人気があり、
多くのホテルや旅館が存在していたそうです。



しかし現在は、その栄華は見る影もなく。
宿泊施設などは廃業が相次ぎ、しかも建物は取り壊されることなく放置されたため
2000年代前半には、屈指の廃墟スポットとして知られる羽目になりました。
北村荘グランドホテルにあり、映画「寅さん」シリーズにも登場した
名前の意味は分からんがとにかく凄そうな「宇宙回転温泉」なんかが有名な廃墟だったそうで。
ちなみに現在は、廃墟物件はほぼ撤去されてます。




そんな和歌浦の中で“奥和歌浦”とも呼ばれる地域が、雑賀崎(さいかざき)。
昔ながらの旅館が点在しているのですが、
これがまた、昭和から時が止まったかのような雰囲気なのですよ。
となれば当然、ゲームコーナーも昔から変わってないわけで。
というわけで、レトロなアーケードゲームを探すべく、今回は雑賀崎の宿泊施設へ向かいました。







まずはここの名所、番所庭園のすぐ側にある旅館「双子島荘」のゲームコーナーへ。
いい感じに80年代なマシンが現役稼働しております。
早速ですが、1つずつ見ていくとしましょう。





ナムコレースゲームの原初とも言える作品、「ポールポジション」。
乗り込むタイプのコックピット型がメジャーでしたが、
こういうタイプの筺体もあったんですねぇ…。
ちなみに中身はバージョンアップしていたのか「ポールポジションII」でした。




こちらはエレメカ。カトウ製作所の「おしゃべりオーム」ですね。
「オハヨ、オハヨ」「コンニチワ、コンニチワ」と、コインを入れなくてもずっと喋っており
デパート屋上のゲームコーナーなんかでは、この音声は定番の1つでした。
ゲームとしては、回転するランプを当たりで止めればOKという簡単なものですが
これが狙ってもズレやすく、思わず連コインしたくなるんですよね…。




さらにエレメカをもう1つ。トーゴの「くるくる絵あわせ」です。
回転する3点をボタンで止め、絵が完成すれば景品ゲット…なのですが、
外れても笑える組み合わせができるので、それで楽しめたりしたもんです。
しかし昔から思ってましたが、着物や野球のユニフォームはともかく
ガイコツを何故混ぜようと考えたのか…。



他にはこまやの「ジャンピングラリー」や、メダルゲームですが「アヒルのヨーイドン」などが稼働中。
パチスロやプライズ系もあり、機種は古いながらも
幅広い客層に対応したラインナップになっている点は好感が持てます。


自分が行った時期は夏だったため、大学サークルの旅行や部活の合宿客が多く
なかなか館内は賑わってる感じでした。
施設全体も綺麗だったので、雑賀崎で泊まるなら一番オススメの宿泊施設と言えますね。











続いては「双子島荘」の隣にある宿泊施設「潮風荘」。
ゲームコーナーは小規模ですが、置いてあるマシンはいかにも年季がかったものです。



目を惹いたのはこの、パチンコ2機種。
「ステークスレース」と「ICBM」という名で、両方ともユニバーサル製です。
1回ずつ指で弾く、このタイプのパチンコってもはや絶滅機種ですよね…。




プライズ系では「スーパースコープ」というマシンが置いてありました。
棒を動かし、景品を出口まで運ぶというルールのもので
割と最近まで、似た内容のプライズマシンをどこでも見かけましたね。
それにしても、ジュークボックスを思わせるようなフォルムが格好良いです。


その他にエアホッケーもあった辺り、いかにも旅館のゲームコーナーという感じでした。










さて、この近くには他にも2つ、宿泊施設がありまして。
しかしそのうちの1つだった「ホテル太公望」は、どうやら今年3月に破産申請を出したらしく
自分が言った夏の時期には、機材の運び出しなどが行われており、営業していませんでした。
どうやらナムコビデオゲーム第1作の「ジービー」や
任天堂の「パンチアウト」筺体がゲームコーナーに鎮座してたらしいのですが…残念。
せめて、何処かで保護されていることを祈ります。





こうなればもう1つの宿泊施設に、いやが上にも期待が高まります。
すぐ隣にあることだし、早速行ってみようじゃありませんか!
















……え!?





一体、ここは……。






…その時、自分は未だ知らなかったのです。






レトロアーケードゲーム探索、
そんな端っこすぎる趣味にさえ、覚悟が要るのだということを。



続きます。