上海パチモノ探索ツアー(1) 真的武勇
リュウや悟空や亀忍者たちが夢のバトルを繰り広げる対戦格闘。
数百本のゲームがたった1本だけですべて遊べてしまうカートリッジ…。
そんなあり得るはずのない存在が、どういうわけかこの世には実在しています。
その正体とは、中国や韓国、タイなどのアジア圏で勝手に製造された、いわゆる“パチモノゲーム”。
著作権的には非常に危うい代物たちですが、
マニアならそのアルティメットすぎる連中に好奇心を強く刺激されてしまうのも事実。
機会があればそんな怪しい世界も探索してみたい…などと考えてはいたのですが
ついに実現する時がやってきました。
パチモノゲームを熱く追い求め続け、昨年2016年には大阪のロフトワンでもイベントを開催された
“パチモノゲームマスター”こと麟閣さんが、上海ツアーを企画すると知ったのです。
こんな千載一遇のチャンスを逃す手は無い!ということで、
中国語どころか英語も話せないのに、気がつけば参加表明&チケット手配を済ませてしまっていました。
諸事情により、上海に入ったのはツアー当日のド深夜。
空港でタクシーを拾おうとしたら、何故か目の前のタクシーに乗せられる気配はなく
気づけば停車場から離れた駐車場奥へ案内され、どう見ても白タクな車に乗せられかけるという
命の危機を感じるレベルの洗礼を受けたりしましたが、
何とか無事、朝9時の待ち合わせに到着することができました。
日本語が通じるありがたみをこれほど感じたのは、生まれて初めてかもしれません…。
ツアーの参加者には、主催者の麟閣さんから粋なプレゼントが渡されました。
“麟閣山寨旅遊”(麟閣パチモノツアー)と刺繍されたこの帽子、
今回のためにわざわざ中国でオーダーメイドされたという、恐ろしく手の込んだ参加記念品です。
ちなみに最初は名前が間違えられるハプニングもあったそうで、
パチモノ探しが目的の今回、これほどご利益がありそうなアイテムもそうはありませんね。
なお今回のツアーに参加したのは、なんと総勢12人。
いずれも未知のゲームを求めて海すらも渡る、一騎当千の猛者揃いです。
「ヘルシング」の少佐の演説風に言うなら「ならば我らは諸君と私で総兵力1万1千と1人の軍集団となる」ですよ!
「よろしい、ならば戦争(パチモノ狩り)だ」
…と誰かが言ったわけではないですが、集結後にはさっそくパチモノソフトの数々がお披露目。
日本版から海外版、in1ソフトに至るまで、ワールドワイドなGBソフトが揃い踏みです。
前日に上海入りしていた方々が発掘したものなのですが…ここは待ち合わせ場所近くの、何の変哲もない地下道の一角。
謎の露店がいきなり目の前に!
のっけから普通のツアーで終わる気がしませんが、いよいよここからが本番です。
まずは地下鉄で、上海随一のオタク街へ。
日本と違い、上海ではゲームやアニメ、その関連品などはどこでも気軽に買えるというわけではなく、
秋葉原や日本橋のように、店が一定の場所に固まっている感じなんだそうです。
上海オタク街の入口にあった本屋。ゲームやアニメの中国版書籍がズラリと並んでいます。
中にはゲームに絞った中文版ギネスブックや、
新しいところでは「ラブライブ!」「君の名は」「Fate/Grand Order」などの書籍も。
日本での流行りからあまりタイムラグを受けることなく、中国でも人気作は認知されてるようですね。
そしていざ、メインストリートへ。
アニメグッズや玩具を取り扱う店がいくつも並んでおり、
言葉は違えど見慣れた風景というか、なんだか安心する感じです。
特にフィギュアを扱う店が多いのが特徴ですかね。
一方でゲームソフトはほとんど見当たらず。ここにも店はあったようなのですが、既に潰れていました…。
それでも、萌えイラストがひと際目立つ店に入って、ゲームがないのか確認。
ここの店員さんは、現地の人でありながら日本語がペラペラでした。
「日本のアニメを観たくて日本語を覚えた」のだそうです。国を超えてもオタクの行動力ってのは凄いですね。
しかも聞けば、店の2階にゲームが置いてあるとのこと。
これは早速パチモノソフト発見か!? と期待に胸を膨らませ、急な階段を上ってみると…。
あったよ!よく見慣れた紅白のゲーム機が!本体だけ!
…ってどう見てもここ、店員の詰め所なんですけど!?
もちろんソフトが陳列されているわけもなく、ファミコンはただの私物でした。。
「ファミコンのソフト?今さすがに売ってるとこなんて見かけないよー」とのことで
まぁ、そりゃなあ…。
ある意味レア体験ではありましたが、見事に肩透かしを食らったのでした。
気を取り直して、再び探索に戻ります。
この街の中には、学業の神様を祀る寺院があり
たまたまこの日は、境内で古本市が行われていました。
歴史ある中国の古本…! ゲームとは直接関係ないものの、これは覗かない理由などないでしょう!
古本市の様子。境内ところ狭しと、多種多様な本が並べられています。
中国の書籍がもちろん主ですが、中には日本から流れてきたと思われるソノシート(!)やら
北朝鮮の通貨セット(!!)やら、謎すぎる品までもが転がっているカオスぶり。
個人的には、ここだけで数時間は余裕で過ごせるほどに興味深い場所でした。
ここでは、見たこともない「ポケモン」っぽいゲームの攻略本と、アメコミの小冊子を購入。
どちらも役立てる機会は確実にないと思いますが、ネタとしては面白いのでOKです。
特にアメコミ、「He-Man」という80年代にアメリカで人気を博した作品のものらしいのですが、
読んでみたら展開があまりに衝撃的だったのですよ。
この3枚、続きではあるはずなんですが、
主役&ヒロイン(?)登場→敵っぽいのが出現→速攻で土下座と、脈絡が分からないほどの高速展開!
原作アメコミを知らないので不明ですが、本当にこんな物語なんでしょうか?
「もしかして勝手に作られたものなのかも…」と普通に思えてしまう、
それこそがパチモノが当たり前のように並ぶ、中国の恐ろしさ。
まだ自分の手で発見にまでは至ってないものの、パチモノソフトへの期待も否が応でも高まるというものです。
続きます。