「あそぶ!ゲーム展」に行ってきました

埼玉県は川口市で行われている「あそぶ!ゲーム展」に行ってきました。
3回に分けてのシリーズイベントということで、
2016年2月末まで行われている第1回は、「デジタルゲームの夜明け」という副題が付いています。
展示されているのは、ビデオゲームの創世記から、アーケードゲームが多彩な進化を始めた1982年までの作品。
これらが見るだけでなく、実際に遊べる(!)とあれば、
スルーできるはずもありません!








会場に入ると、まずは世界初のビデオゲームといわれる「テニス・フォー・ツー」、
世界初のシューティングゲーム「スペースウォー!」がお出迎え。
そしてこれまた世界初の商業用ビデオゲーム「コンピュータースペース」の実機が展示されています。


この辺りはさすがに実機でのプレイとはいきませんが
(※「コンピュータースペース」は日時限定で実機プレイが可能だそうです)
エミュレーターでの展示があるため、どんなゲームだったかは実際に体験できます。
「テニス・フォー・ツー」が横からテニスを見るようなゲームであること、
「スペースウォー!」と「コンピュータースペース」がゲーム内容としては非常に似ていることなど、
知識としては知っていたものの、やはり実際に触れると理解度が段違いですね。



 

筺体もさることながら、「コンピュータースペース」に関しては今回の展示では
内部の基板や、当時のパンフレットまでも見ることができます。
実際にゲームを遊べる点も当然嬉しいのですが、
こうした通常は見られない貴重な資料も確認できる点は、本格的な展示イベントならではですね。









 

展示作品はアーケードゲームが中心ですが、中には家庭用ゲーム機の姿も。
世界初の家庭用ゲーム機「オデッセイ」の実機はもちろんのこと
その試作機「ブラウンボックス」までもが一緒に展示されています!
前者の展示だけでも相当な珍しさなのに……やるな。











さて、アーケードゲーム群の展示に戻りますと。
次に現れるのは、世界で初めて商業的に成功したビデオゲーム「ポン」。
独特の操作感覚が人を選ぶ「コンピュータースペース」から、
素直なパドル操作と、ボールを打ち返せばよいというシンプルなルールを貫いた「ポン」へ。
これは確かにヒットするわ…と、納得できてしまいます。











時代は進んで70年代中盤。
タイトーの「スピードレース」やアタリの「ブレイクアウト」(ブロック崩し)がヒットした時代。
もちろん上記2作も展示されているのですが、それ以上に注目なのが次の2台の展示です。


1つは、サメを模した白い筺体が印象的な「マンイーター」。
PSEという、日本では知名度がほぼない海外メーカーによって発売されたゲームで、
ナムコ(当時は中村製作所)により、少数ですが日本へも輸入されたそうです。


ゲーム内容としては、水中を自在に動くサメを避け、海の底にある宝を船まで持ち帰るという内容。
ゲーム&ウォッチの「オクトパス」に近いゲームといえます。
もちろん、「マンイーター」の方がずっと先ですが。


個人的には、同じナムコが販売ということで「海底宝探し」との関連をついつい考えてしまいましたが
こういうシチュエーションの作品を好んだ人が、当時のナムコにいたんですかね?




そしてもう1つは、エキシディが製作した「デスレース」。
車を操作し、人に似た姿のグレムリンを轢きまくる見下ろし型のレースアクションです。
海外ではその残虐とも取れる内容が問題視され、撤去騒ぎまで起きたいわくつきのタイトルとして知られてます。
一応、日本にも輸入されたそうですが、実際にプレイした人は非常に少ないのでは。
残念ながら、自分が訪れた時にはプレイできずでした……。











問題作2タイトルの後に現れるのは、
ゲームの歴史を語るうえで外せない不朽の名作「スペースインベーダー」。
今回の展示では、アップライト版とテーブル版が並んでいるという、心憎い配置になっています。




ちなみに「スペースインベーダー」と「パックマン」には特集コーナーが設けられており、
当時の「スペースインベーダー」開発資料は、これまた必見ポイント。
パックマン」コーナーの、当時のグッズ群も目を見張るものがありますね。
まさかパックマン型の電話まで存在していたとは……!







続くコーナーには、1978〜79年の人気タイトルがずらりと。
アタリの「アステロイド」に「フットボール」、電気音響の「平安京エイリアン」、
そしてナムコの「ジービー」「ギャラクシアン」。


さらっと書いてますが、「アステロイド」や「ジービー」の専用筺体は普通まず見られないどころか
現役稼働してるロケーションがあったらレトロゲーマーが震撼するレベルの代物です。
いかに貴重な展示に溢れているか、逆説的に分かるというものでしょう。





そんな70年代後半タイトルのコーナーで、ひときわ目を惹くのがエキシディの「スターファイアー」。
自分もこのゲームは初めて知りましたが、コックピット型の大型筺体でのプレイは、今でも通用する迫力。
この当時にして3Dシューティングを実現した技術に驚かされます。
エキシディというメーカーが、どれだけ時代の最先端を突っ走っていたのかと感じられましたね。











最後に待つのは、1980〜82年をにぎわせたゲーム達。
ニチブツの「クレイジークライマー」、コナミの「スクランブル」、
任天堂の「ドンキーコング」、アイレムの「ジャンプバグ」と「ムーンパトロール」、
ナムコの「ラリーX」、セガの「ザクソン」と、幅広いラインナップになっており
80年代前半から、ゲームが一気に多様化したことが肌で感じられます。




その中には、知名度的には他タイトルに一歩譲る、セガの「スペースフューリー」の姿が。
世界で初めてカラー表示のベクタースキャン(乱暴に言えば点と線だけで描画する方式)を実現した作品で、
ゲーム中に音声合成で宇宙人がプレイヤーに話しかける演出も語り草です。


そして実は「スペースフューリー」と「スペースウォー!」は、
360度から迫る敵を撃墜する、とゲームの内容的にはかなり近いものでもあります。
今回の展示で「スペースフューリー」置かれている理由は、歴史的な意義以上に
「スペースウォー!」からわずか15年ほどでゲームは急激に進化した、
という部分を分かりやすく伝えるためなのではないか、と個人的には感じました。








これだけの超貴重なレトロゲームを見て、実際に遊べる機会は
それこそビデオゲームの博物館でもできるか、
今回のイベントにも協力している高井商会さんの倉庫が解放でもされない限り、そうそう無いでしょう。
レトロゲームにいくばくかでも興味があれば、見逃す手はありません。