大型筐体クロニクルその1 「ラッドモビール」


俺の大型筐体フォルダが火を噴くぜ!ってことで、これがはてなに登録した大きな理由の1つ。
趣味でアーケードの筐体を撮りためているので、それらの写真を少しずつ公開していこうかと思います。
1発目はレースゲームの中でも、自分的に1、2を争うほど好きな作品。
「ラッドモビール」(セガ・1991)です。


アーケードゲーム初の32bit基板「システム32」の第一弾として発売されたこのタイトル。
稼動当時、そのグラフィックの美しさが話題となったものでした。


視界をさえぎる強い雨、大きなカーブを描くハイウェイ、
自車を追跡してくるパトカー、ヘッドライトを点けて高速ですれ違う対向車、
そしてコクピットでぶらぶらと振れ続ける、ソニックのマスコット…。


その全部がスプライトで描かれているという、力技。
今やったらグラフィッカーがダース単位で死にそうな手間が、惜しみも無く注がれています。



本作は、スプライト表現が最先端だった時代の、最末期を飾る作品といえます。
この翌年「バーチャレーシング」が発売され、ゲームの表現方法はポリゴンへ移行を始めました。
スプライト技術はもはや古いとされ、また労力的な問題もあってか
以降、2Dグラフィックは見かけなくなっていきます。


また同時に、本作が発売された1991年は、体感ゲームが斜陽を迎え始めた時期でした。
ゲームに合わせて筐体が激しく動くこれらのゲームは、より大掛かりに派手にと進化を続けていましたが
前年の1990年、体感ゲームの究極系と呼べる「R-360」の登場によって、一区切りがついたのです。


スプライトによる表現と、筐体の激しいムービングが一体となった作品。
80年代後半から90年代初頭、確かにゲーセンの華として君臨していたゲームたちの血を引きながら
次の進化へ繋がることなく、末期を飾る役割を担ったのが「ラッドモビール」でした。


実際、ゲームとして目新しい部分はグラフィックを除いたら
ライトとワイパーが出せるボタンくらいです。
歴史に残る名作でも、語り継がれる作品でもないかもしれませんが
自分は本作に、体感ゲーム華やかなりし時代の残り香を感じ、強烈にノスタルジーを覚えるのです。



セガサターンに移植された「ゲイルレーサー」は、なんか悪い方向に別物なので
是非とも筐体を見かけたら、コインいっこ入れてみてほしいところ。
4人同時プレイ可能な「ラッドラリー」もありますよ。