大阪南端の楽園・みさき公園へ(3)

みさき公園のレトロアーケードゲーム探索、
ここまで「ワイルドパイロット」や「ギャラクティックストーム」をはじめ
今や動いていること自体が奇跡なマシンたちと再訪できたわけですが、
まだ終わりではありません。
最後は観覧車近くのゲームコーナーを覗いていきます。


こちらも外観から、ドラえもんやアラレちゃんのライド型マシンがお出迎えしてくれ
期待を煽りまくってくれますね。
では早速、中へ行ってみましょう。











最初に見たカーニバルコーナーほど広くはありませんが、
中に置いてあるのは体感ゲームエレメカ、ライド型マシンに
カーニバルゲームまでと、非常にバラエティ豊か。
まず最初は、大型ゲーム機からチェックです。







サイバースレッド」は、恵那峡ワンダーランドに続き2度目の発見。
ただ、ここに置かれているものは画面設定がおかしいようで
この時はマトモにプレイできなかったのが残念です…。



その隣にあったのは、セガの「ビハインドエネミーラインズ」。
ガンブレードNY」なんかと同じく、マシンガン備え付けの爽快ガンシューティング
実際、スピード感たっぷりなゲーム展開と爆風上がりまくりの演出は
なかなかに気持ちいいのですけど、ほとんど稼働しているところを見なかったですね…。
一応、97年リリースなので新しめの作品ではあるのですが。




ガンシューティングといえば、忘れてはならない名作もここに稼働していました。
タイトーの「スペースガン」です。
「エイリアン」風のホラーアクション映画テイストと、
フットペダルを踏めば画面スクロールが戻せる、思い切ったシステムが特徴でしたね。
本作はPS2タイトーメモリーズ2 上巻』に収録されていますが、
やはりフットペダル付きの筺体で遊んでこそ、楽しさが伝わる作品でしょう。
とはいえ、意外と現役では残っていないマシンでもあります。






こちらはセガの「スタジアムクロス」。
オフロードのバイクレースが題材という、珍しいタイトルです。
「ラッドモビール」などと並んで、ドット絵ですべてが描かれた体感ゲーム
最末期にリリースされた作品であるため、そのグラフィックは芸術的ですらありますね。





変わり種のレースものが、さらにここにはもう1つ。
スノーボードを題材にした「アルペンサーファー」も稼働中です。
結構、何も考えずに滑っているだけでも楽しいタイトルでしたねぇ、これは。
こういう「理屈抜きで楽しい」というプレイ感覚こそ、体感ゲームの醍醐味だと思います。





先に行ったキッズコーナーにも置かれていたのですが、
何故かここにも「スズカ8アワーズ2」があります。
それだけ定番タイトルだったということですね。














続いてエレメカも見ていきましょう。
まずは「かばくんのランチタイム」。
ゾウの鼻でビーズをすくい、かばくんの口に入れて行くのが目的という
メルヘンチックな設定が子供心をくすぐるタイトルです。
これは同じ大阪では、レトロな屋上遊園があることで有名な梅田の阪神百貨店にもありますね。





「ハッピータイム」。ルーレット形式のメダルゲームです。
こまや作品全般に言えることですが、
上手いんだか下手なんだかよく分からないが、味のあるイラストが印象的でした。





もう名前そのまんまな内容の「坊主めくり」。
姫を引き続ければ景品ゲットなわけですが、完全ランダムなのでそう簡単にはいきません。
また坊主が憎たらしい顔してるんですよ、これが。
ミスするとかなり悔しいタイトルでした。




さらに隣にあったのは「おさるのもんきちのヤシの実キャッチでござる」。
すげぇ久しぶりに見ました…おさるのもんきち。
同時期に人気だった、けろけろけろっぴや、みんなのたぁ坊なども今では全然見なくなりましたね。
全然関係ないですが、サンリオの月刊誌「いちご新聞」って今でも残ってるんですな。















その他にも、こういう子供向けのスマートボール風ゲームが並んでいたりと、
幅広い年齢層に対応したラインナップは、遊園地のゲームコーナーならでは。
実際、探索に行った時期は夏だったため
園内のプールやイルカショーには、結構な客が来てた様子でした。




その分、ゲームコーナーはゆったり遊べる状態。
時間の止まった空間で、心行くまで懐かしいゲームを遊ぶ…これはなかなか貴重な時間でしたね。


しかも置いてあるゲームは、他では見ないレアなタイトルも多数。
関西近郊なら、この奇跡的なロケーションを味わっておかない手はないです。

大阪南端の楽園・みさき公園へ(1)

さて、いきなりですが。
このご時世にジャレコのシューティングを巻頭特集するという
我が道を行きまくりのシューティングゲーム専門誌
シューティングゲームサイドVol.8」は、すでに読まれましたでしょうか?



一応、自分もゲームライターの端くれらしく
特集内でジャレコシューティングの1作
「ワイルドパイロット」の記事を書かせていただいているのですが、
この記事内の写真のために、わざわざ現役稼働してるマシンの写真を撮りに行ったりしています。


行った先は大阪・泉南にある遊園地「みさき公園」。
ここがまた、いい感じにレトロゲームが残された場所でして
「ワイルドパイロット」以外にも見所たっぷりでした。
なので記録を残してみようかと。





さて、みさき公園は遊園地だけでなく、動物園やプール、
果ては観光用の灯台にイルカショーまである、なかなかの巨大レジャースポットです。
そんな中にお約束通り、ゲームコーナーが点在しているわけですね。


というわけで早速、園内で一番大きいと思われる
3階建て(ただし2階はアトラクション)のゲームコーナー「カーニバルコーナー」へ。
入口からしてライド型マシンが取り囲んでおり、こいつは期待大です!
















そこに待ち受けていたのは、90年代の大型筺体やエレメカを中心とした
20年近く時が止まっているかのような、素晴らしい空間でした。
しかも、他で見かけないようなレアなマシンも混ざってます。





その1つが最初にも少し触れた、ジャレコの「ワイルドパイロット」。
まだポリゴンではなく、ドット絵ですべてが表現されていた時代ならではの
超絶な描き込みと、高い爽快感が味わえる作品でした。
おそらくですが、本作が現役稼働している場所は
日本ではもうここ以外に存在しないのでは…?
これだけで、行く価値十分ってものでしょう。





レアなマシンといえば、これも滅多に見かけない1台です。
タイトーの「ギャラクティックストーム」。
稼働当時から出回りは良くなかったものの、音楽の評価が飛び抜けて高かったため、
曲だけは知ってる…なんて人もいるのでは?
自分はこれが初プレイでしたが、やはり前評判の通り。
これぞSF!と思わせる、テンションの上がる曲群に魅了されました。
大型筺体でこの音楽を独り占めできるというのは、なかなかに贅沢な話です。







レースゲーム系が充実しているのも、ここの見所。
「ターボアウトラン」の専用筺体は久々に見ました…。
ちなみに同じフロア内には続編「アウトランナーズ」もあったり。



「ダートダッシュ」のDX筺体。
後ろのスプリングが印象的。しかも飾りではなく、プレイに合わせて稼働します。
SD筺体は今でもたまに見かけますが、こちらは珍しいですね。


セガ・ツーリングカーチャンピオンシップ」。
後に筺体が「ル・マン24」に改造されたロケが多いそうで、
1996年稼働にも関わらず、意外に見かけないタイトルだったりします。


その他に体感レースゲーム系で置かれていたのは
「スズカ8アワーズ」と「電車でGO!2 高速編 3000番台」。
バイク、電車、飛行機、車と、バランス良く配置している感がありますね。








これらのマシンだけでも半日は遊べそうな勢いですが、まだまだ終わりません。
例えばガンシューティングも充実しているのですよ。


まず目を惹いたのはこれ。ナムコの「スティールガンナー2」。
画面内のほぼすべてが破壊できる、豪快かつ爽快な演出で人気を得た作品ですが
恐ろしいのは90年初頭リリースという時代の関係上、
破壊前も破壊後も、すべてがドット絵で描かれているということ。
その手間のかけ具合たるや、今見ると壮絶とすら感じます。


…ああ、それと本作を見てPC-98の同人ゲー
「スティールガンにゃん」を思い出す人は、もう色々取り返しがつかないので自重して下さい。
元ネタと別ベクトルで、恐ろしい手間のかけ具合な作品でしたね…。

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こちらは同じくナムコの「ゴーリーゴースト」。
筺体内の立体物に、CGでオバケが現れるという、エレメカビデオゲームの中間的なゲームです。
この続編が、養老ランドに置いてあった「バブルトラブル」なんですね。


この他にも「リーサルエンフォーサーズII」と初代「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」が稼働中です。
こちらもドット絵、半エレメカ、実写、ポリゴンと
狙ってかどうかは不明ですが、時代を感じる設置になっていますね。










そしてもう1つ。遊園地のゲームコーナーといえば
充実したエレメカも見逃せないところです。
さらりと、日本ゲーム博物館にも置いてあった「ミニドライブ」とかあるんですよ、ここ。




そんな状況なので「コズモギャングス」なんかが当たり前にあります。
迫ってくるコズモを銃で撃って撃退する、90年代ナムコの代表的エレメカの1つですね。
ちなみにコズモは光に反応して後退するので
カメラのフラッシュを焚くと瞬時に全滅させられる…なんて裏技があったり。



レトロゲーマー的にはこれも懐かしいです。
「忍者くん」のメダルゲーム
一時期はゲームキャラを、ルーレットゲームに当てはめたものがよく見られましたよね。
ワルキューレとか、魔界村とか。
カプコンのやつは特製のメダルが用意されていて、ものすごく欲しかったのを思い出します。



こちらも子供向けメダルゲームとしては外せない有名機種。
こまやの「かめさんうさぎさん」と「たしたし城」とかも現役です。








いやぁ…エレメカまで見事に隙のないラインナップですね。
しかし、これで満足するのはまだまだ早すぎるのです。
何せ、みさき公園には他にもいくつかゲームコーナーが存在するのですから。



というわけで、次回以降では他のゲームコーナーも回っていきます。
乞うご期待。

大阪南端の楽園・みさき公園へ(2)

みさき公園探索、続きです。
前回は園内で一番大きいと思われるゲームコーナー
「カーニバルコーナー」の1階をチェックしましたが、ここは3階建て。
2階には別のアトラクションが入っており、
また3階まで行くと、別のゲームコーナーが待っているのです。




そんなわけで階段を上り、3階へGO。
途中にかけられているピエロの表示板も、なかなかにレトロでいい雰囲気です。
この昭和な空気、狙ってもそうそう醸し出せるもんじゃありません。









到着した3階ゲームコーナーの全景は、こんな感じです。
広いスペースに体感ゲームビデオゲームエレメカエアホッケーなどが点在してます。
奥には卓球なんかもあって、家族で楽しめるゲームコーナーって感じですね。
では、気になるマシンを見ていくとしましょう。






まずはこれ。任天堂のVS筺体に入った「VSスーパーマリオブラザーズ」。
残念ながら片方でしかプレイできませんが、
以前は対戦プレイも普通にできたのだろう…と思わせる年季の入りっぷりです。
場所柄か、子供に向けて丁寧なゲームの遊び方が
手書きで張られているのも、なかなかに味がありますね。



その隣にあるのは、今や珍しくなった青いひさしのMVS筺体。
かつてはおもちゃ屋や酒屋、スーパーなどいたるところでこのマシンを見かけた…
なんて90年代の光景は、今の子供にきっと信じてもらえないでしょう。
残念ながらこの時は非稼働でした。



MVS=ネオジオ。その後継ハードといえばハイパーネオジオ64。
その第1弾だったレースゲーム「ラウンドトリップRV」が置いてあるのもポイントが高いですね。
無理にポリゴン格闘に走らず、この路線で色んなジャンルを攻めていたら
ハイパーネオジオ64には違った未来があっただろうなぁ…とか思わず考えてしまいます。




エレメカですが、ここで最もレアなゲーム機は、これではないでしょうか?
YUVOこと太平技研工業がリリースした「ザけんじゃね〜よ」。
ゲームとしてはパンチングマシンに近いのですが
パンチではなく、ビンタでパンチングボールを叩くこと、
モンタージュで叩く相手の顔を作れることが特徴です。
「ビンタでストレス解消!」がコンセプトのようで、狙いはなかなか面白いですよね。
ちなみに太平技研工業は、2009年に倒産しています…。




1階に比べるとゲーム機の数自体は少ないですが、ここもレトロな雰囲気は負けず劣らず。
ここに来たお客さんが「タイムスリップしたかと思った」と言うのを、たまたま聞いたりしましたが
さもありなん、といった感じです。
天然のレトロゲーム博物館が、確かに存在しているのですよね。









さてさて。
カーニバルコーナーは一通り見終わったので、次のゲームコーナーへ行ってみましょう。
少し歩くと、屋外に「キッズワールド」という場所が存在するようです。




これがキッズワールドの風景。
射的などのカーニバルゲームに、ライド型マシン、そしていくつかのゲーム機が置かれた
小さいながらも充実したスペースになっています。
モニタが傷みやすいためか、ビデオゲームに類するものは
初代「電車でGO!」「スズカ8アワーズ2」「レイブレーサー」くらい。
屋根のある部分に置かれたゲーム機は、ほとんどがエレメカです。




出ました。こまやが生んだエレメカの大名作「山のぼりゲーム」。
ボタンをタイミングよく押し、トラップを抜けて山の頂上を目指す。
単純だけど適度にテクニックが必要なシステムが受け、ロングヒットした機種ですね。
最近ではリメイク版も存在するのですが、これはもちろんオリジナル版です。





その横にあるのは、同じくこまやの「ケロケロパックン」。
曲がりくねったレールを、ボールが勢いよく走っていくのが気持ちいいんですよね、これ。
ボールをパチンコのように弾いて、カエルの口に入れれば得点ゲット…
なのですが、これがなかなか難しく、思わず熱くなります、




こちらはプライズ系。「カニさんのクレーン」です。
入っている景品は、キャンディや小さなマスコットなど、大したものじゃないんですが
その分取りやすくて、なんだかんだでゲットすると嬉しいもんです。
見た目のファンシーさだけでなく、仕様もゲームに不慣れな子供にまで優しい。
こういうエレメカは、やっぱり無いと寂しいですね。








意外に見所のあったキッズワールドを後にして、向かうは次のゲームコーナー。
観覧車に近い位置に、大きめのスポットがあるようです。
ここまで3か所でも、かなりレトロアーケードゲームが楽しめましたが
それ以上のサプライズは待っているのでしょうか…?


というわけで、もう少し続きます。
次回がみさき公園の最終回なので、お付き合いのほどを。

岐阜・愛知レトロアーケード探索記(6) 岐阜県某所・後編

岐阜県のとある温泉旅館からお送りする、
既に閉鎖されたゲームコーナーの光景。
前回はテーブル筺体群をチェックしましたが、まだ終わりません。
他にもマシンは設置されていました。

テーブル筺体群の反対側には、ライド型マシンやプライズ、
そしてアップライト筺体などが、雑多に置かれているのです。



これは、そんなライド型マシンの一部。
この原色ばかりが配されたカラーリングと、味のある動物の造形、
今となってはそうそう出せるテイストじゃないですね…。
これまた昭和の空気を醸し出していて、いい感じです。


そして気になるのは、やはりゲームマシンの数々。
こちらも順に見ていくことにしましょう。








まずはこれ。セガの「シューティングゾーン」。
故障したマシンがほとんどな中で、これと隣の「ストII'」だけは
電源が入った瞬間、元気に稼働していました。


前回、PCエンジンのゲームが時間制で遊べるテーブル筺体を紹介しましたが
本作はそれのセガマークIII版といえるもの。
5種類のゲームが選べ、タイトル名を体現するかのように
ジョイスティックに加えてガン形式のデバイスも備え付けてあります。
北斗の拳」の海外版「ブラックベルト」などまで入っているあたりが憎いですね。







こちらは再びテーブル筺体。
セガの「パッシングショット」です。
テニスゲームなんですが、これがまた類を見ないほどに特殊なコンパネなんですよ。



この通り、設置されているのはスティックと人形です。
人形でプレイヤーを移動させ、スティックで打つ球種を決めるんですね。
ちょっとエレメカっぽくていい感じ。この人形だけ欲しいくらいです。






その並びにあったのは、これまたセガのシティ筺体。
後に「エアロシティ」「アストロシティ」「ブラストシティ」など
セガのアップライト筺体の中核を担う「シティ」シリーズの
元祖ともいえるマシンです。

ちなみに中身は「達人」だったのですが…
それよりも衝撃的だったのが、隣にもう1台置かれたシティ筺体。
何も言わず、写真を見て下さい。











なんと、シティ筺体版「アフターバーナー」!
オペレーターが改造を勝手に行ったものではなく、れっきとしたセガ純正だそうで
筺体に操縦桿が生えたかのようなフォルムがインパクトあり過ぎです。
おそらく、大型筺体が置けないロケーション用に作られたものだと思われます。
…「アフターバーナー」といえば大型筺体のものしか知りませんでしたが
こんな形でも供給されていたんですねぇ。

稼働しなかったため、確認するすべはありませんが
パネル等から推測するに、おそらく中身はバージョンアップ前の「I」でしょう。
これもまた非常に珍しいところです。












最新機種が「ストII'」だったことからして、
このゲームコーナーのラインナップは、90年代前半からほぼ変わることなく、
10年以上の時を過ごしてきたのでしょう。


それは養老ランドや恵那峡ワンダーランドで見た、
大切にメンテナンスを受け続けるマシンには程遠く、
また、日本ゲーム博物館さんのように、確固たる主義で保護されたものでもない、
いわば、忘れ去られたゲームマシンたちと言えます。


ただ、そこに在るということは、
かつては多くの人々を楽しませてきた、ということ。



いつか消え行くものであっても、
いや、だからこそ、確かに在ったという記録を残したいのです。
それが何になるか、といえば自己満足以外の何物でもないんですけどね。








そんなわけで、岐阜県探索はひとまず完結。
まだまだ温泉地などを中心に探せば、レトロゲームが眠ってそうな地なので
いずれリベンジといきたいものです。

岐阜・愛知レトロアーケード探索記(5) 岐阜県某所・前編

タレコミを頼りにやってきた、とある岐阜県内の温泉旅館。
結論から言えば、事前情報通り。
すでにゲームコーナーは、閉鎖済みでした。
従業員さんに話を聞くと「ほとんどのマシンが壊れてしまったから」とのこと。残念です…。


ただし筺体などはそのまま残されています。
従業員さんに無理を言ってお願いしてみたところ、
ご厚意により中を見せていただけました!


   ※今回は、本来営業していないゲームコーナーであるため
    一応、詳細な場所や旅館名については伏せさせていただきます。
    何となく場所が分かった人も、なにとぞ心の奥底に秘めておく方向でひとつ。










そこは、既に閉鎖されたとはいえ
今も80年代のゲームコーナーの空気が色濃く残る、素晴らしい空間でした。


置かれているマシンもまた、時代を感じさせる80年代中心のラインナップ。
まずはテーブル筺体を中心に見て行きましょう。







「ソンソン」の純正パネル付き筺体。
こうしてパネルまで当時のままで残されているものを
まさか21世紀に見られるとは…。
2人同時プレイが売りだった作品だけに、パネルにまでも力が入っていたのですね。







他にカプコンものだと「1942」なんかも。
使い込まれたパネルが、年季を感じさせます。








こちらはセガの「ギガス」。
ブロック崩しのリメイク作品ですね。
ちょっと分かりづらいですが、パドルコントローラにセガのロゴが入ってます。






ジャンボ尾崎スーパーマスターズ」。
操作系統がかなり特殊な作品で、ショットは棒をつまみ、はじいて強さを決めます。
これを見て野球ゲームですが、同じセガの「メジャーリーグ」や「クラッチヒッター」を
思い出すようであれば、もはや立派なレトロゲームマニア。








テクモの「ピンボールアクション」。こちらもパネルは純正。
ピンボールビデオゲーム化とはいえ、ボタン2つのみというデバイスが潔いです。








これは…? テーブル筺体ですが、インストはPCエンジンの「パワーリーグ」ですね。
どうやら時間制で家庭用ゲームが遊べるマシンだったようです。
ファミコンのものは当時よく見ましたが、PCエンジン版もあったんですねぇ。








旅館のゲームコーナーの定番、麻雀も当然あります。
これは「スーパーリアル麻雀」の「PI」と「PIII」のインストが入った筺体。
「PI」は脱衣要素が無く、後に「PII」にほとんど入れ替えられたので
インストだけでも結構貴重かも。








これは初めて見ました…。「天神牌」という麻雀ゲーム。
95年にダイナックスが「麻雀天神牌」という作品をリリースしていますが、それとは別物のようですね。
ちなみに横にはダイナックスの「Don-Den麻雀」も置いてありました。







麻雀と来れば、ポーカーゲームもあり。
「GOLDEN9」というタイトルだそうです。
旅館でチマチマと遊ぶのは、なんか異様に似合いますよね。







この通り、テーブル筺体群だけでもレアタイトル目白押しなのですが
よくよく見ると、他にもとんでもないゲームが眠っていました。
それについては、写真点数が多くなりすぎるので以下次回です。

岐阜・愛知レトロアーケード探索記(4) 恵那峡ワンダーランド

高山から中部縦貫道を抜け、東海北陸道東海環状道と乗り継ぎ、
中央自動車道からは、とにかく東へ。
目指すは峡谷と温泉の地・恵那に広がる巨大遊園地
恵那峡ワンダーランド」です。



2000年に一度は閉鎖されながらも、不死鳥のごとく復活し、現在に至るこの場所は
「養老ランド」同様に、古き良き時代の遊園地の姿を今も残しています。


もちろん、遊園地の定番であるゲームコーナーも健在です。
それも90年代で時が止まったかのような、独特の空気をそのままに。
ここには屋外と屋内、2か所のゲームコーナーがあるのですが
特に大型レトロゲームが残されている、屋内を中心にチェックしていきます。



右側に見えるのが屋内ゲームコーナー。
それにしてもパンダの乗り物が、いい感じにノスタルジーを掻き立ててくれます…。
さっそく中のマシンを見てみるとしましょう。











ナムコの大型ゲーム機を語る上では外せない「スターブレード」。
これが現存しているだけでも、ここまで来る価値があるというものです。
荒いポリゴンだからこその、ソリッドでクールな描写。
音声通信や効果音以外はほとんど耳に届かない、ストイックかつ重厚な音響。
その筺体の中には当時、確かに宇宙が存在していました。
この未来を切り取ったかのようなゲームに、衝撃を受けたプレイヤーは決して少なくありません。




未来、といえばこのタイトルも忘れられませんね。
同じくナムコの「サイバースレッド」です。
2本のレバーで戦車を操作し、対戦相手を撃破するゲームシステムは
FPSなんてジャンルがなかったリリース時の1993年には、斬新以外の何物でもありませんでした。
2作とも、歴史的意義は非常に深い作品ですが
現役稼働しているマシンとなると、今やそうそう見られません。




恵那峡ワンダーランド」のゲームコーナーは、ナムコ系が妙に充実しています。
こちらは「ファイナルラップR」。
シリーズ最終作にして、スプライトで描画を行ったレースゲームとしても最末期の作品です。
ドット絵の、1つの到達点を味わえるタイトルといえるでしょう。




「ファイナルハロン」。
レースゲーム…なのは変わりないですが、そのテーマは競馬。
馬型マシンにプレイヤーが実際に乗り、揺らすことで走らせることができる
(いい意味で)バカすぎる見た目で、多人数プレイが確実に盛り上がるタイトルです。




ナムコではないですが、音ゲーもあります。
ダンスダンスレボリューション 4thMIX PLUS」(ソロバージョン)。
6パネル方式のソロバージョンは、久しぶりに見ました…。
ダブル譜面ができる人には楽勝なのかもしれませんが、個人的には出た時、ずいぶん戸惑った覚えが。











メダルゲームも見ていきます。
ファンタジーランド」。
ルールとしてはルーレットに近いものですが、中央にある観覧車など
その名の通りファンタジーで統一されたデザインが、心躍らせてくれますね。




こまやの「ティックタック」。
上の3個の玉が揃えばメダルをゲットという、分かりやすいルールです。
それにしても魔法使いのイラスト、味があり過ぎですね…。これは萌える(え?)



「コロコロクエスト」。
そんなに古いものではないのですが、実はこのマシン、タクミコーポレーション製です。
そう、「ギガウイング」や「マーズマトリックス」で知られた、あのメーカーですよ!
こんな小遣い稼ぎもやっていたんだなぁ…。









ビデオゲームも、ほんの少しですが置いてありました。
ジャレコのポニーマークIV筺体に入っているのは、
スーパーリアル麻雀PVI」「子育てクイズマイエンジェル」「ゲーム天国」。
幅広い客層に対応する、いいチョイスだと言えましょう。




その横には非稼働ですが、タイトーの50インチビデオゲーム筺体
「テアトロ50」も鎮座していました。
果たして当時、どんなゲームがこの大画面に映し出されていたのでしょうか…。




90年代の空気を色濃く残す、とは先に書いたとおりですが
これでも何台かのマシンは、撤去されてしまったようです。
10年近く前には「シスコヒート」(ジャレコ)や「ギャラクティックストーム」(タイトー)、
「レーシングヒーロー」(セガ)など、稼働当時から珍しかった大型筺体が
平然と並んでいたのだとか…。



そういえば、探索から戻ってからの話ですが、
Twitter恵那峡ワンダーランドのゲームコーナーについて書いていたところ
スタッフさんから反応を頂きました。ありがとうございます。


日にちは未定ですが、ゲームコーナーに新しくゲーム機が増えるとのことです。
これからも来る人を楽しませる場所として、末永く続けていく、
そんな気概を感じさせる、温かなメッセージでした。


マニアの勝手な願いを伝えさせてもらうなら、
是非、現状のマシンも大切に残されたまま、さらなる発展を遂げてほしいと思います。
現在残されたゲームに魅力を感じ、
それを求めて足を運ぶ人が、数は少なくとも確かにいるのですから…。














さて、恵那峡ワンダーランドを満喫し終えた頃。
探索に出ていることを知った知人より、連絡が来ました。


「県内の、ある旅館に存在したゲームコーナーの現状を調べてほしい。
 数年前にゲームコーナーは閉鎖されたものの、
 80年代で時が止まったかのような、凄いラインナップだったそうなので……」


さっそくネットで調べてみると、営業していた頃のゲームコーナーを訪れた記録が。
確かに、これらがもし今も残っているなら一大事レベルです。
たとえ無駄足の可能性があろうとも
行って確かめない理由などあるでしょうか。いや、無いッ!


今回は愛知の天野ゲーム博物館を最後の目的地とするつもりでしたが、予定変更です。
恵那峡から車を走らせ、向かうは岐阜県内の温泉街。
そこで待つのは、残された奇跡か、それとも厳しい現実か…。



続きます。

岐阜・愛知レトロアーケード探索記(3) 奥飛騨・平湯〜高山

1日目、最後の目的地。
愛知・犬山の日本ゲーム博物館から車で3時間以上走って向かった先は…
岐阜県奥飛騨平湯温泉です。


何故ここを選んだのか。理由は単純明快です。


 温泉街のホテルや旅館にはゲームコーナーがある
  →山奥の温泉街なら、レトロなゲーム機が今も残ってるんじゃね?
    →東海地方で山奥の温泉街といえば奥飛騨でしょう。ならレッツゴー☆


…自分で書いておきながら、目眩がするほど無計画ですね。
ともあれ一度走り出した以上、もう後戻りはできません。
中部縦貫道をひたすらに飛ばして、国道158号線から奥飛騨に入ります。




そして奥飛騨の山道を走り始めたあたりで、本格的に後悔。
甘く見てた! 俺は峠攻めを甘く見過ぎてた!!
曲がりくねった未知の山道を走ること自体、緊張が伴うというのに
4月とはいえ、奥飛騨には雪が余裕で残っているのです(さすがに道に積もってはいないが)。
ノーマルタイヤで大丈夫なのか、これ…!?


恐る恐る峠を走り続け、平湯温泉に着いたのは19時過ぎ。
来た以上は目的に一直線。
ゲームコーナーがあるという「穂高荘 山がの湯」へ向かいます。


建物内には昭和レトロを推した展示物などもあり、実にいい雰囲気です。
ここで日帰り温泉を楽しみつつ、ゲームコーナーもチェックしようという寸法。



…が、残念ながらゲームコーナー、休止中でした。
開放されてはいるのですが、ゲーム機の電源は入っていません…。
従業員さんに聞いてみると「壊れているものが多いので休止中なんです」とのこと。残念。
置いている機種は「ハングオン」のシットダウンタイプに「アウトラン」のスタンダードタイプ、
任天堂VSシステムに何故か「はちゃめちゃファイター」が入ったものなど
実に味のあるマシンばかりだったのですが…。



そんな中で、他で見かけたことがないため
1枚だけ撮ったのが上のマシン。円形のテーブル筺体です。
どうやらニチブツ製のようで、パネルには「ナイトギャル」のロゴが入っています。
スタイリッシュなこの筺体で、脱衣麻雀を遊ぶ…。凄まじく背徳的で、たまらなかったに違いありません。



しかしそれも、マシンが非稼働では味わえない感動。
もう遅いし、心残りだけど今日の探索は切り上げるか…と動きだした時、悲劇は起きました。


ここには仮眠ルームが設置されており、日帰りの入泉料+1000円ちょっとで
ひと晩過ごせるという、リーズナブルすぎるサービスがあるのですが
ゲームコーナーを確認し、温泉を楽しんでいるうちに、その受付時間が過ぎてしまっていたのです。




やっちまった! 完璧にやっちまったよコレ!!
時間はすでに21時過ぎ。今から他のホテルや旅館に駆け込むのも、現実的に難しい。
となれば…3択――ひとつだけ選びなさい。


答え1:ハンサムの俺は突如今からでも泊まれるアイデアがひらめく
答え2:仲間がきて助けてくれる
答え3:かわせない。現実は非情(車中泊)である


とりあえず今回は一人旅なので、答え2は自動的に却下。
答え3は死にかねない(温泉地まで来て車中泊したら精神的に)ので
「やはり答えは…………1しかねえようだ!」


…そんなこんなで、平湯で泊まることを諦めて
闇夜&雪の残る山道に本気におびえながら高山まで戻り、
途中で某丼モノの店に入ったら何故か客全員(しかもワイルド系な)が知り合いらしく貸し切り状態で
完全アウェイ状態なこんな状況で味なんか分かるか―! と心の中で叫びつつも
やっと高山のビジネスホテルに駆け込んだら、もはや日も替わる寸前でした。
いい歳をして何をやってますか俺は。









気を取り直して、2日目。
予定外に高山からのスタートとなりましたが、せっかく来た以上、周囲を探索しない手は無い…
というわけで、ゲームコーナーがあるらしい土産販売施設の「飛騨物産館」へ朝イチでGO。


置かれていたのは、ナムコの「たこいかぱにっく」。
タコとイカ、指定された側だけを叩くという、変わり種のもぐら叩きです。
ただ、もぐら叩きには“出てきたものを叩けばOK”という単純明快なルールが定着しているためか
あまり受け入れられたとは言えない作品ですね…。
ポップな筺体デザインは、個人的に好きなのですが。



もう1つ。目を引いたのがこの汎用ビデオゲーム筺体。
「AMBO series」という名の、MVSに似た2in1です。
コンパネ側面に“COSMO”と入っていたので、これがメーカー名だと思われますが…。
調べてみてもメーカーはおろか、この筺体の画像すらもヒットしない、謎だらけのマシンです。
これの正体を知っている方は、是非情報をお願いします。
ちなみに入っていたゲームは「スペースインベーダーDX」と「メタルスラッグX」でした。



タイミング良く、この日はお祭りに重なっていたようで
子供たちが華やかな衣装で踊る姿も、見ることができました。
寄り道もなかなか悪くないものですね…。



そうだ、寄り道といえば。
今日は愛知県に戻り、名古屋周辺を探索しようと思っていたけれど
せっかくだから岐阜県内で、少し足を延ばしてみよう。


かつて“レトロゲームの聖地”と呼ばれた、あの場所まで。



続きます。